半導体製造の流れ
半導体製造の流れは、大きく以下に分けられます。
- シリコンウェーハの製造:高純度のシリコンを単結晶に成長させて、薄く切断して回路を形成するための基盤とする工程のことです。
- 設計工程:半導体の仕様や回路を設計し、フォトマスク(レチクル)と呼ばれる原版を作成する工程です。
- 前工程:シリコンウェーハ上にトランジスタや配線などの電子回路を形成する工程です。
洗浄、成膜、フォトリソグラフィ、エッチング、イオン注入、熱処理などの工程を繰り返して、集積回路(IC)を作ります。 - 後工程:シリコンウェーハから半導体チップを切り出し、パッケージに収めて保護する工程です。
ダイシング、ダイボンディング、ワイヤボンディング、モールディングなどの工程を経て、半導体製品になります。
シリコンウェーハの製造
高純度のシリコンを単結晶に成長させて、薄く切断して回路を形成するための基盤とする工程のことです。
シリコンウェーハの製造には、以下のようなステップがあります。
- シリコン精製:石英を還元して金属シリコンを作り、塩素ガスや水素ガスと反応させて高純度の多結晶シリコンを得る。
- 単結晶成長:多結晶シリコンを石英のるつぼに入れて溶かし、種結晶に接触させて回転させながら引き上げて単結晶のインゴットを作る。
チョクラルスキー法(Cz法)やフローティングゾーン法(FZ法)などがある。 - ウェーハ加工:インゴットを厚さ1 mm程度にスライスし、面取り、ラップ、エッチング、研磨などの工程で表面を平滑化し、洗浄や検査を行ってシリコンウェーハにする。
設計工程
半導体製造の設計工程とは、半導体に必要な回路やパターンを設計し、フォトマスクと呼ばれる原版を作成する工程です。
半導体の回路やパターンは、コンピュータを使ってシミュレーションを行い、効率的で高性能なものを検討します。
フォトマスクは、透明なガラス板の表面に実際よりも大きく回路パターンを描き、これをウェーハー上に転写するための原版です。
フォトマスクは、前工程でウェーハー上に回路を形成する際に使用されます。
前工程
半導体の回路部分は、シリコンウェハーにトランジスタや配線などの微細な構造を形成する工程で、前工程と呼ばれます。
前工程では、主に以下のような装置が使われます。
- 洗浄装置:ウェーハーに付着した汚れや異物を除去するための装置です。
- 成膜装置:ウェーハー上に金属や絶縁膜などの薄膜を形成するための装置です。
- リソグラフィー装置:フォトマスク(レチクル)と呼ばれる原版から回路パターンをウェーハー上に転写するための装置です。
- エッチング装置:ウェーハー上の薄膜をパターンに沿って削るための装置です。
- イオン注入装置:ウェーハー上に不純物を注入して電気的特性を変化させるための装置です。
- 熱処理装置:ウェーハーを高温に加熱して不純物の拡散や酸化膜の形成などを行うための装置です。
- 計測・検査装置:ウェーハー上の形状や寸法、電気的特性などを測定したり、良品・不良品を識別したりするための装置です。
後工程
パッケージ部分は、回路部分を保護するために、半導体チップを切り出してパッケージに収める工程で、後工程と呼ばれます。
後工程では、主に以下のような装置が使われます。
- プロービング装置:ウェーハー上の半導体チップの電気的特性を検査するための装置です。
- バックグラインド装置:ウェーハーの裏側を削ってチップに切り出しやすくするための装置です。
- ダイシング装置:ウェーハーを半導体チップに切り出すための装置です。
- ダイボンディング装置:半導体チップをパッケージ基板に貼り付けるための装置です。
- ワイヤボンディング装置:半導体チップとパッケージ端子を金線で接続するための装置です。
- モールディング・封止装置:半導体チップと金線を樹脂で固めて保護するための装置です。
- マーキング・外観検査・バーンイン検査等:半導体製品に型番やロゴを書いたり、外観や性能を最終的に検査したりするための装置や方法です。