半導体

ロジック半導体とは

ロジック半導体は、回路を微細化してトランジスタ(電気のスイッチの役割をする素子)の数を増やすことで、計算能力を高めてきました。
最先端のロジック半導体には、160億個ものトランジスタが詰め込まれています。
データを保存するメモリーや温度などの情報をデジタル信号に変換するアナログなどと比べて、付加価値が最も高い半導体です。
2021年の世界市場規模は約21兆円と、半導体全体の3割弱を占めています。

日本にはメモリーなどの工場はありますが、最先端のロジック半導体の工場はありません。
最先端のロジック半導体の生産には1工場当たり1兆円を超える巨額投資が必要となります。
量産できる企業は台湾積体電路製造(TSMC)や韓国のサムスン電子などに限られます。
米中対立の激化などで経済安全保障上の重要性が高まっており、TSMCの工場を熊本県に誘致するなど政府も国産化を後押ししています。

電子機器の「頭脳」と呼ばれる半導体で、デジタル信号を入力として受け取り、論理演算を行って出力する信号を決める機能を持ちます。
さまざまな分野で使われていますが、特に多く使われているのは以下のような分野です。

ロジック半導体の用途
  • スマートフォンやパソコンなどの情報機器:CPUやGPUなどの中央処理装置やグラフィック処理装置として、情報機器の動作や画面表示を制御します。
    情報機器の性能や機能を向上させるために、微細化や高集積化が進められています。
  • 自動車やロボットなどの制御機器:センサーやアクチュエーターなどの入出力信号を処理し、運動や動作を制御します。
    制御機器の安全性や効率性を高めるために、高速化や低消費電力化が求められています。
  • 仮想通貨やAIなどの特殊用途:仮想通貨のマイニングやAIの学習・推論などの特殊用途において、高い計算能力を発揮します。
    特殊用途に対応するために、ASICやFPGAなどのカスタマイズ可能な半導体が開発されています。
ロジック半導体に使われる技術
  • 2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサー技術:ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社が開発した技術で、従来同一基板上で形成していたフォトダイオードと画素トランジスタの層を別々の基板に形成し積層することで、従来比約2倍の飽和信号量を確保し、ダイナミックレンジ拡大とノイズ低減を実現しました。
    この技術は、画素サイズの微細化に伴う画素特性の低下を防ぐことができます。
  • Sb 2 Te 3 /MoS 2 ファンデルワールス界面技術:産業技術総合研究所と東京都立大学が共同で開発した技術で、2次元材料MoS 2 と層状物質Sb 2 Te 3 を用いて低コンタクト抵抗を有するMoS 2 トランジスタを作製しました。
    この技術は、高い耐熱性を維持したままコンタクト抵抗を低減することができるため、次世代ロジック半導体として期待される2次元材料トランジスタの高性能化に貢献します。
  • ナノシート構造技術:IBMやTSMCなどが開発した技術で、従来のフィンフェット構造に代わる新しいトランジスタ構造です。
    チャネル層を複数枚重ねて形成し、それぞれの厚さや幅を制御することで、電流制御や電力効率などの特性を最適化できます。
    この技術は、2 nm世代のCMOS製造技術として注目されています。